僕らの夏休み

書こう書こうと思っているときにはちっとも書かないのが人間でしょう。
ネタはあったはずなのだが時間にすっかりかき消されてしまった。
それでもいつものように何かしら書く気になったので、こうやってPCを開く。

ちょっと前に夏休みがあり、そういう機会でもないと友人にめっきり会わなくなった昨今、思い切って何人かの友人に会おうと声がけをした。気持ちというのは書くまでもなく本当に大事で、やるぞと決めたら事は案外スイスイ進むのである。わたしは夏休みでも友人はそうではないので、ほぼ週末に会うことになる。ラインナップは独身・既婚・子なし・子ありと多種多様な30代後半である。

その中の既婚子なし、というまあいわゆるDINKs女子に会ってきて、いま自分の置かれている状況を彼女になんとなく話したいと心のどこかで思っていたことに、呑んでいる最中に気づいて、安堵とともに申し訳ないと思ってしまった。もちろん会おうと連絡したのはわたしで、丸五年くらい会っていなかったけれど、どこかで彼らは子供を持たないらしいよと聞き、どんな感じでそうなったのかなとか、いまはどんな気持ちなのかなとか、突然ものすごく興味が沸いたのだ。約束を取り付けた時点では、自分が不妊治療をしていることを話すつもりはさらさらなかった。どんなに聞き上手な友人にだってわりと重い話題であることは間違いない。そして自分自身が不妊体質なのだ、とやっぱりまだまださらけ出すなんてことを出来ないし、したくないのである。

彼女のところは旦那がどうしても子供を持つ自分を想像できない、という理由によりDINKs合意したそうだ。彼女が好きなのはあくまでも旦那なのだ。愛している男の意思を尊重できるなんてすごいことだなと思った。人間は100か０かで物事を決められないと思っている。もしかしたら彼女は１％でも子供を産む気持ちがあったかもしれないのに。それをそうだねと合意して結婚できるなんて、わたしには到底できない。

わたしはいつも揺れている。不妊治療がうまくいかないからさっさとこんな治療やめたいと思ったりする。かと思えば自然妊娠を(未だに)期待したりもするし、気分がいいときは子供がいたらああしたいこうしたい、などと夫と明るい将来を話し合ったりもするのだ。この揺れ具合は本当に大きくて、時に自分の感情を持て余したりもする。わりと辛い。できればスパッと白黒はっきりさせたいと常々思うのだ。だから彼女のような生き方は、いまのわたしにとって心から羨ましい。

DINKs話をしているうちに、実は子どもがなかなか出来ないんだよねーと冗談めかして自分から誘導する形になった。そうなんだ、もしかしてもう不妊治療してるの？わたしのまわりにはちょいちょいいるよ、と彼女がさらりと続けてくれる。その空気がすごく自然で、思わず泣きそうになってしまった。そこで泣いたらたぶんものすごく楽になったのかもしれない。でもお店で泣きたくないというわずかな理性とプライドが勝った。治療の話はそのあと少し続けたけれど、ただ、わたしが躊躇していたこと、頑なに閉じ込めておいた氷のようなもの、を彼女と話すことによって少しだけ融解させられたような気分になり、それだけで満足できた。

みんながんばってるよ！いつでもおうえんするよ！
帰り際、さらりとしなやかな彼女に言ってもらえて、よかった。

そういう人間はいそうでなかなかいない。
わたしは幾度も彼女に救われている。

人生詰んでるかもしれない

不妊治療に飽きてしまった。
こう書いてしまうと身も蓋もないが、事実なのでそう書き留めておく。

そもそも結婚願望がなかったミドサー女が長年付き合っていた男と結婚した。その理由は男が子供を欲しいと知ったからだ。というか、妊活はその前からはじめており、私自身はデキ婚にしようと目論んでいたのである。なぜなら、結婚願望がなかったからである。デキ婚ならその結果結婚したというわかりやすい構図になるし、長年結婚しない宣言のようなものをあちらこちらでしていた私にとって、不妊治療の為に結婚したなどと口が裂けても言いたくない。「なんだ～結局あなたも子供欲しいんじゃんネ☆」とか言われるかもしれぬと考えただけでも腹立たしい。まあわりとめんどくさいタイプの女なのである。

理由が理由だからなのか、はたまたミドサーだったからか、すんなりとできると思っていた子供はなかなかやってこない。ブスだがとりま五体満足、風邪引くことなどほとんどない、熱は記憶によると38度以上出したことない、インフルエンザってなにそれおいしいの？というくらい、普段の健康に関してはほぼ問題なく30年以上過ごしてきたはずなのだが、一向に妊娠の気配がない。もしや胎児に完全に気配を消されているのかと心配になり、妊娠検査薬を何本も使ったが真っ白である。アレ、陰性だと使用する前よりも白いんですよ。可笑しいですよね。

一年経っても無理だったので近所の婦人科へ相談に行ったが、まだ若いし(え？)春だからもう少し様子を見ましょう、と医者は言う。いやいやミドサーって若くないでしょ。しかも春だからって何？動植物かよ。すでにネットの情報で一年経ってもできなければ病院で検査してみましょう、とあり、不妊症の定義がそのころに変容しつつあったので、もうこりゃオレ不妊だろうなとうっすら自覚はした。

それから専門クリニックの初診に行くまではわりと時間がかかってしまった。
そう、結　婚　しなければいけなかったからな！！！！！！！！

そんなこんなでいまに至る。
人工授精も体外受精も経験するとは思ってもいなかった。

人間とは欲深い生き物で、欲しいものを入手するまでは諦めない。私にとって(一人目妊活者にとっても)二人目不妊はホントにクソで、ひとりいるんだからいいだろ！と思わずにいられない。しかし彼女らにとって一人目はすんなりできたもんだから(もちろん治療した方々もたくさんいるだろうが)二人目も…と思うのが自然だろうから、頭ごなしに否定はしたくないが、それでも同じカテゴリーじゃねえだろ！とは禁じ得ない。人間みんな平等じゃねえんだよ！ステージ違うだろ！！

とりあえずいまは飽きてしまったので(何てことだ)積極的な治療はしないで至って普通の夫婦生活を送るのみである。ていうか結婚までが長かったカップルって高確率でセックスレスですよね。うちもだんだんそうなりました。やっぱ結婚前提で付き合って二年くらいまでがいちばん楽しい期間じゃないですか？それを超えるともう熟年カップルと大差なくなってきますよ。阿吽でだいたい通じます。

あっなんだか語尾がおかしくなってきたのでこのへんで。

終わりなき

思い切って書いてみるという行為だけで大分満足してしまったわたしである←

妊活…いやもうそんな次元ではなく絶賛”治療”中の身であるのだが、ここでどういう経過だとか治療内容は目下綴る気持ちはない。前回少しづつ綴っていけたら云々、とか書いていたような気もするがきっと気のせいである。わたしがここで書いていくだろうことはほとんど愚痴になる可能性が高いと言っておく。

治療をしていることを知っているのはわずかな友人のみである。一応口外しないだろうと思われる人物のみ、必要があって伝えた。
親きょうだいはわたしが治療していることを知らない。彼らには一生言わない心づもりである。わたしにとって親というものは恩もあり大変有り難い存在ではあるのだが、人間として完全に信用できるわけではないのである。きょうだいも又然り。
そんなわけで普段わたしが溜め込んでいる気持ちはここに掃き溜めされていく予定である。

いい仕事に就いて収入もそこそこあって趣味もたくさん超多忙…そんなアラサーアラフォーは不妊界隈にたくさんいる。大学から就職までわりと順風満帆だったためか子供をあとまわしにし、結婚も30過ぎてから、いざ子づくりの段になってあれ？となる。そんな女性が大多数だ。
そして「皆に簡単にできることがなぜわたしにできない」という、今まで血の滲むような努力または強力な運などによって上手く生きることができていた女性にとってまるで理解できない難題が目の前にある、その事実が受け入れ難く、その難題が解けないことがさらに当事者たちを卑屈にさせていくのである。

最近〇ちゃんねるのようなヲチスレを閲覧しているが(一応断っておくが書き込みはしていない)某SNSに対するヲチ具合が凄い。両方に出入りしているとだんだん自分の感覚がわからなくなってきてしまった。どこの、誰の、何が、正しいのか、間違っているのか、悪いのか、等々黒い感情の渦巻いている場所にいるのは、自分自身も不妊治療をしている身であるため、精神衛生上良くないと思うようになってきた。アレはアレでヲチするほうもされるほうも人間として、女性としてもどうかと思うのだが。